Powerslideの定番ハードブーツ「Imperial 80」のスペック&レビュー

Powerslideの定番ハードブーツ「Imperial」。
このImperialは基本的な構造は変わらないまま、構成パーツやカラーリングを変えたり、細部の改良を重ねたりして、2013年から販売され続けているロングセラーのブーツです。
発売時からフレームなどの付属パーツの違いによって、名称や価格が異なるタイプが数多くリリースされていますが、今回ご紹介するメインのブーツは2019年に発売された4x80(80mmウィールの4輪)モデルの「Imperial One Jade 80」になります。
その他、「Imperial One Black Crimson 80」などのGammaフレームとHurricaneウィールが付いている4x80モデルについても、本記事の「Gammaフレーム搭載モデルについて」の項に書きましたので、購入の際など参考にしてください。

スペック

商品

項目 概要 備考
商品名 Imperial One Jade 80 -
メーカー Powerslide -
型番 908347 -
参考価格 32,000円(税別) -
総重量 1479g EU41/42片足

構成

パーツ ギア 重量 規格
ブーツ Imperial (EU41/42) 826g / 片足 2-point 165mm
フレーム Spider 174g / 片足 2-point 165mm
ウィール Spinner 80mm/85A 90g / 個 -
ベアリング Wicked ABEC 7 11g / 個 -

ブーツ

  • EU41/42サイズのブーツ部分のみの片足分の重量は826g。
  • シェルとインナーブーツで構成されているハードブーツ。
    シェルはグラスファイバーで強化されたプラスティック製のImperial専用のもの。
    インナーブーツは熱成形可能な「MyFit FatBoy Dual Fit Liners」。
  • フレームマウントは165mm幅の2点留め。
    いわゆる「Vフレーム規格」。
    同規格のものなら、Powerslide製だけでなく他社製のフレームも取り付け可能。
  • 金属製のXスロットを採用。
    ブーツ側のマウントスロットが縦長の穴になっているので、ブーツ側でフレームの前後の取り付け位置調整が可能。
    フレームを取り付けるマウント部分に金属パーツを使用しているので、フレームへの力の伝達が良い。
  • カフとバックルとバンパーはネジ留め。
    六角レンチやプラスドライバーで取り外しや交換が可能。

ブーツのみ

写真1ブーツのみ

左:ブーツの底の写真 右:ブーツの上からの写真

写真2左:ブーツの底の写真 右:ブーツの上からの写真

インナーブーツ「MyFit FatBoy Dual Fit Liners」

写真3インナーブーツ「MyFit FatBoy Dual Fit Liners」

フレーム

  • 4x80/243mmの「Spiderフレーム」。
    6065アルミ製の押出成形フレーム。
    フレーム長は243mmで、最大径80mmのウィールが4輪入るフルフラットフレーム。
  • フレームマウントは165mm幅の2点留め。
    いわゆる「Vフレーム規格」。
    同規格のものなら、Powerslideだけでなく他社のブーツに取り付け可能。
  • Xスロットを採用。
    フレーム側のマウントスロットが横長の穴になっているので、左右に動かして、取り付け位置を調整することが可能。
  • ブリッジはないが高品質。
    ウィール間に補強のブリッジはないが、剛性は高い。
    精度が高く、ウィールの回転がスムーズ。
    大きく穴抜きがされているデザインやアルミ製のシャフトなど、軽量化が図られている。

上:フレームの横からの写真 中:フレームの上からの写真 下:フレームの下からの写真

写真4上:フレームの横からの写真 中:フレームの上からの写真 下:フレームの下からの写真

ウィール

  • 直径が80mm、硬度が85Aの「Spinner 80mm/85A」 。
    Powwrslideのフリースケート用ウィールで、オールマイティに使用できる。

ベアリング

  • Wicked ABEC 7
    Powerslideグループのブランド「Wicked」製の、ABEC 7のベアリング。
  • グリス仕上げ。
    長期間滑っても抜けにくいグリスが潤滑油として入っている。
  • 両面金属シールド。

上:ウィール「Spinner 80mm/85A」 下:ベアリング「Wicked ABEC 7」

写真5上:ウィール「Spinner 80mm/85A」 下:ベアリング「Wicked ABEC 7」

その他

  • ヒールブレーキなし。
    ヒールブレーキは付属していないが、別売りの「FSK Urban Brake」が取り付け可能。

レビュー

履き心地

インナーブーツは、ウレタンの質も厚さも問題なく、足がシェルやカフに当たって痛くならないようになっています。
しかし、日本人には少し足幅が狭く、くるぶしの位置などが合わなくて、足が痛くなる場合もあるかもしれません。その場合は、ショップや自宅でインナーブーツを熱成形すると、ほとんどのケースで解決するはずです。

シェルやカフが少し硬めですが、適度なフレックスがあり、足の動きを妨げることなく、しっかり足をサポートしてくれます。
また、カフが少し高めなので、その分足首回りのサポート力も高くなっています。
初心者の方やフリースケートでの使用にも、きちんと足を支えてくれる安心感があるブーツです。

操作性

サポート力のあるブーツが足の動きにしっかり追従してくれるので、足首に負荷が掛かりやすい大径ウィールを装着していても、安心して滑ることができます。
ブーツのフレームマウント部分が金属パーツなので、フレームへの力の伝達はロスが少なく、操作のレスポンスの良い作りとなっています。
フレームの取り付け位置を前後左右に調整可能なので、自分が操作しやすい位置に調整可能です。

アルミの押出成形で作られているので、剛性も精度も高いフレームです。
そのため、操作のレスポンスも加速性も申し分ありません。
ウィール間の補強ブリッジはありませんが、特に気になることはありませんでした。

ウィールはコスパに優れたの「Spinner」です。
オーソドックスな性能で、スピードが乗りやすく、操作感も悪くありません。

スピード

シェルが少し硬めで、フレームマウント部分には金属パーツが使用されているため、力の伝達が良いハードブーツとなっています。
そのため、スピードが乗りやすいです。

フレームの精度も剛性も高いため、スピードが乗りやすいフレームです。
80mmウィールのスピード感をしっかり楽しめます。

ベアリングはグリス仕上げのABEC7で、相応の性能です。
普通に滑る分には特に問題はなく、回転が悪くてストレスを感じるようなことはありません。

カスタマイズ

インナーブーツが熱成形できます。
フィット感に不満がある場合やパッドが当たって足に痛みが出る場合は、インナーブーツを専用オーブンやドライヤーなどで温めて自分の足型に成形することができます。

Xマウントを採用しているので、フレームの位置を前後左右に調整できます。
センターにフレームを付けることはもちろん、ユーザーの好みに合わせて微調整できますし、内股やガニ股の人は操作しやすい位置にフレームを動かすことが可能です。

全てのパーツが交換可能です。
ビスも全て六角レンチかプラスドライバーで簡単に外すことができます。
また、バックルやバンパーなどの各交換パーツが用意されているだけでなく、カフとバンパーとシューレースがセットとなった「Imperial Custom Part Set」も5色(白、黄、青、紫、ティール)展開されています。

フレームが汎用性のある規格なので、フレーム交換して、ワンランク上の滑りや長距離滑走なども楽しむことも可能です。

コスパ

消費税を入れると約3.5万円となりますが、ブーツの作りも良く、経験者も満足度の高いパーツ構成になっているため、コスパは悪くありません。

Gammaフレーム搭載モデルについて

4x80のImperialには、ブーツは同じで安価なフレームとウィールが装着されて価格が抑えられた、Gammaフレーム搭載モデルもあります。2019-2020モデルでは「Imperial One Black Crimson 80」に当たります。
以下はそのスペックやレビューとなります。

構成例

パーツ ギア 重量 規格
ブーツ Imperial (EU41/42) 826g / 片足 2-point 165mm
フレーム Gamma 208g / 片足 2-point 165mm
ウィール Hurricane 80mm/85A 83g / 個 -
ベアリング Wicked ABEC 7 11g / 個 -

フレーム

  • 4x80/243mmの「Gammaフレーム」。
    アルミの鋳造で作られたフレーム。
    フレーム長は243mmで、最大径80mmのウィールが4輪入るフルフラットフレーム。
    押出成形のSpiderフレームより安価で、剛性と精度が若干低い。
  • フレームマウントは165mm幅の2点留め。
    いわゆる「Vフレーム規格」。
    同規格のものなら、Powerslideだけでなく他社のブーツに取り付け可能。
  • Xスロットを採用。
    フレーム側のマウントスロットが横長の穴になっているので、左右に動かして、取り付け位置を調整することが可能。

上:フレームの横からの写真 中:フレームの上からの写真 下:フレームの下からの写真

写真6上:フレームの横からの写真 中:フレームの上からの写真 下:フレームの下からの写真

ウィール

  • 直径が80mm、硬度が85Aの「Hurricane 80mm/85A」 。
    Powerslideのフリースケート用ウィール。
    Spinnerより安価で、品質が少し下がる。

レビュー

Spider搭載モデルよりフレームとウィールの質が少し落ちます。そのため、ほんの少しだけスピードの乗りが悪かったり、滑り心地が悪かったりします。
とは言え、インラインスケートの経験が長くないと、Spider搭載モデルとの違いは分からないと思うくらい、あまり差がありません。
そして必要十分な品質のパーツで構成されているため、スケーティングやスラロームの練習、街中を滑ったりするのには何の問題もありません。

初心者や初めてインラインスケートブーツを購入する人、パーツにこだわりがない人は、コスパの良いGammaフレーム搭載モデルで十分だと思います。
Gamma搭載モデルとSpider搭載モデル、どちらを買うかを迷ったら、好きなカラーリングの方を選んでも良いでしょう。

まとめ

Powerslideの定番ハードブーツとして7年も販売し続けられているだけあり、間違いのないブーツです。

ブーツのシェルやカフ、マウント部分に剛性があるので、汎用性が高く、他の剛性の高いフレームに交換しても十分に対応できます。
また、3x110や3x125フレームに交換すれば、ハイスピードの滑走や余裕のある長距離滑走を楽しむこともできます。

ウレタンパッドが当たって痛くならなくても、フィット感が向上するので、購入したらインナーブーツを熱成形すると良いでしょう。

かかとが低いため、操作しにくかったりやスピードが出ないと感じることもあると思います。
その場合は、インソールのかかと下に硬めのショックアブソーバを入れたり、かかとに高さのあるインソールに入れ替えたりすると、改善されると思います。

3万円台で販売されていますが、ハードブーツの基本をしっかり押さえた作りになっているので、初心者はもちろん、インライン歴の長い人のセカンドブーツとしてもおすすめできるブーツです。