Powerslideの定番ハードブーツ「Imperial 125」「Imperial 110」のスペック&レビュー

Powerslideの定番ハードブーツ「Imperial」。
このImperialは基本的な構造は変わらないまま、構成パーツやカラーリングを変えたり、細部の改良を重ねたりして、2013年から販売され続けているロングセラーのブーツです。
発売時からフレームなどの付属パーツの違いによって、名称や価格が異なるタイプが数多くリリースされていますが、今回ご紹介するメインのブーツは2019年に発売された3x125(125mmウィールの3輪)モデルの「Imperial 125 Jade」になります。
3x110モデルの「Imperial 110」については、本記事の「『Imperial 110』について」の項に書いてあります。

スペック

商品

項目 概要 備考
商品名 Imperial 125 Jade -
メーカー Powerslide -
型番 908274 -
参考価格 40,000円(税別) -
総重量 1763g EU41/42片足

構成

パーツ ギア 重量 規格
ブーツ Imperial (EU41/42) 826g / 片足 2-point 165mm
フレーム Unity 230g / 片足 2-point 165mm
ウィール Megacruiser 195g / 個 -
ベアリング Wicked ABEC 9 11g / 個 -

EU41/42サイズのブーツ片足分の総重量:1763g

写真1EU41/42サイズのブーツ片足分の総重量:1763g

ブーツ

  • EU41/42サイズのブーツ部分のみの片足分の重量は826g。
  • シェルとインナーブーツで構成されているハードブーツ。
    シェルはグラスファイバーで強化されたプラスティック製のImperial専用のもの。
    インナーブーツは熱成形可能な「MyFit FatBoy Dual Fit Liners」。
  • フレームマウントは165mm幅の2点留め。
    いわゆる「Vフレーム規格」。
    同規格のものなら、Powerslide製だけでなく他社製のフレームも取り付け可能。
  • 金属製のXスロットを採用。
    ブーツ側のマウントスロットが縦長の穴になっているので、ブーツ側でフレームの前後の取り付け位置調整が可能。
    フレームを取り付けるマウント部分に金属パーツを使用しているので、フレームへの力の伝達が良い。
  • カフとバックルとバンパーはネジ留め。
    六角レンチやプラスドライバーで取り外しや交換が可能。

ブーツのみ

写真2ブーツのみ

左:ブーツの底の写真 右:ブーツの上からの写真

写真3左:ブーツの底の写真 右:ブーツの上からの写真

インナーブーツ「MyFit FatBoy Dual Fit Liners」

写真4インナーブーツ「MyFit FatBoy Dual Fit Liners」

フレーム

  • 3x125/255mmの「Unity」。
    1枚のアルミ板からプレス加工して作られたフレーム。
    フレーム長は255mmで、最大径125mmのウィールが3輪入る。
    Megacruiser 125mm frame set」のフレームの色違い。
  • フレームマウントは165mm幅の2点留め。
    いわゆる「Vフレーム規格」。
    同規格のものなら、Powerslideだけでなく他社のブーツに取り付け可能。
  • Xスロットを採用。
    フレーム側のマウントスロットが横長の穴になっているので、左右に動かして、取り付け位置を調整することが可能。

上:フレームの横からの写真 中:フレームの上からの写真 下:フレームの下からの写真

写真5上:フレームの横からの写真 中:フレームの上からの写真 下:フレームの下からの写真

ウィール

  • 直径が125mm、硬度が86Aの「Megacruiser」 。
    Megacruiser 125mm frame set」の付属ウィールと同じ、Powerslideのウィール。

ベアリング

  • Wicked ABEC 9
    Powerslideグループのブランド「Wicked」製の、ABEC規格で最高ランクのベアリング。
  • オイル仕上げ。
    潤滑油はオイルなので、滑り始めから加速しやすい。
  • 片側ラバーシールド。
    オイル注入や洗浄などのメンテナンスがしやすくなっている。

上:ウィール「Megacruiser」 下:ベアリング「Wicked ABEC 9」の表裏

写真6上:ウィール「Megacruiser」 下:ベアリング「Wicked ABEC 9」の表裏

その他

  • ヒールブレーキなし。
    ヒールブレーキは付属していない。
    また、Unityフレームに取り付けられる別売りのヒールブレーキもありません。

カラーによる違い

メタリックカラー

2016年と2017年に、クロム、シルバー、レッド、パープルのメタリックカラーのImperialが販売されました。
これらのモデルは、シェルのフレームマウント部分に金属パーツが使用されていません。
そのため、他のImperialモデルよりフレームへの力の伝達効率が悪く、付加を掛ける滑りをするとシェルがよれるように感じるかもしれません。

Jadeカラー

ブーツを明るい所で見るとミントグリーン系の色ですが、シェルが特殊な蓄光素材で作られているため、光に当てた後に暗闇で見ると緑色に光ります。
これはJadeカラーのシェルだけの特性ため、他のカラーは暗所では光りません。

暗闇で光るImparial 125 Jadeのシェル

写真7暗闇で光るImparial 125 Jadeのシェル

レビュー

履き心地

インナーブーツは、ウレタンの質も厚さも問題なく、足がシェルやカフに当たって痛くならないようになっています。
しかし、日本人には少し足幅が狭く、くるぶしの位置などが合わなくて、足が痛くなる場合もあるかもしれません。その場合は、ショップや自宅でインナーブーツを熱成形すると、ほとんどのケースで解決するはずです。

シェルやカフが少し硬めですが、適度なフレックスがあり、足の動きを妨げることなく、しっかり足をサポートしてくれます。
また、カフが少し高めなので、その分足首回りのサポート力も高くなっています。
初心者の方やフリースケートでの使用にも、きちんと足を支えてくれる安心感があるブーツです。

操作性

サポート力のあるブーツが足の動きにしっかり追従してくれるので、足首に負荷が掛かりやすい大径ウィールを装着していても、安心して滑ることができます。
ブーツのフレームマウント部分が金属パーツなので、フレームへの力の伝達はロスが少なく、操作のレスポンスの良い作りとなっています。
フレームの取り付け位置を前後左右に調整可能なので、自分が操作しやすい位置に調整可能です。

フレームがアルミの板をプレスして作られたものなので、剛性が低く、強い負荷が掛かるとフレーム自体が少したわむ感じがします。アウトエッジに倒し込んでからインエッジへの切り替える時など、エッジの切り替え時のレスポンスが悪いことがあり、その時に少し滑りづらさを感じます。
繊細な操作には不向きですが、プレス加工という安価な作りの割に精度が良く、大径ウィールのスピード感を十分に楽しめます。

ウィールの品質はそれほど良いものではないため、グリップ力が弱く、ブーツを倒し込んでのターンやスリッピーな路面には注意が必要です。
素材が硬く、路面の凹凸感がダイレクトに足に伝わってくるため滑り心地もあまり良くありませんが、スピードは乗りやすいです。
その一方、スライド技はやりやすいですが、プレス加工のフレームが曲がらないか心配です。

スピード

シェルが少し硬めで、フレームマウント部分には金属パーツが使用されているため、力の伝達が良いハードブーツとなっています。
そのため、スピードが乗りやすいです。

ブーツの作りがしっかりしていて、ウィールのサイズはかなり大きく、ベアリングの回転性能も十分なので、高速滑走を楽しむことができます。
走り出しは重いですが、スピードに乗ってしまうとあまりスピードが落ちないので、長距離滑走に向いています。

ブーツを深く倒し込んだ時のレスポンスの悪さが原因で、減速する場合があります。

カスタマイズ

インナーブーツが熱成形できます。
フィット感に不満がある場合やパッドが当たって足に痛みが出る場合は、インナーブーツを専用オーブンやドライヤーなどで温めて自分の足型に成形することができます。

Xマウントを採用しているので、フレームの位置を前後左右に調整できます。
センターにフレームを付けることはもちろん、ユーザーの好みに合わせて微調整できますし、内股やガニ股の人は操作しやすい位置にフレームを動かすことが可能です。
ただし、フレームを後ろに下げて付けようとすると、先頭のウィールがブーツに当たって回らなくなることがあるので注意してください。

全てのパーツが交換可能です。
ビスも全て六角レンチかプラスドライバーで簡単に外すことができます。
また、バックルやバンパーなどの各交換パーツが用意されているだけでなく、カフとバンパーとシューレースがセットとなった「Imperial Custom Part Set」も5色(白、黄、青、紫、ティール)展開されています。

ブーツの作りが良く、フレームが汎用性のある規格なので、フレームを交換して、ワンランク上の滑りやスラロームなどを楽しむことも可能です。

コスパ

滑走スキルが高くなくても、しっかり大径3輪が楽しむことができる最低限以上のパーツ構成のブーツとなっていると思います。
また、フレームやインナーブーツなどを交換して、いろいろと楽しめる発展性のあるブーツでもあります。
そのため、40,000円という価格は決して高くないと思います。

「Imperial 110」について

「Imperial 125」と異なるスペックは、基本的にウィールのみです。
Powerslide製の、フィットネス用のInfinityの110mmやフリースケート用のSpinnerの110mmが装着されていて、「Imperial 125」のMegacruiserより多少品質が良いかと思います。

「Imperial 110」と「Imperial 125」は、同時期に発売されたものであれば、ブーツやフレームはカラーリングが異なるだけです。
フレームはアルミ板をプレス加工した「Unity」で、フレーム長も255mmで最大ウィール径も125mmと同じです。(一部、125mmウィールが入らないモデルあり)
そのため「Imperial 125」と比較した場合、「Imperial 110」の方がウィールが15mm小さい分、少し小回りやスタートダッシュがしやすく、少しスピードが落ちやすいかと思います。

「Imperial 110」と「Imperial 125」では性能や価格に大きな差はなく、唯一異なるウィールは後から交換できます。
どちらを購入しようかと迷った場合は、カラーリングやウィールの好みで決めても良いかもしれません。

まとめ

Powerslideの定番ハードブーツとして7年も販売し続けられているだけあり、間違いのないブーツです。

ブーツのシェルやカフ、マウント部分に剛性があるので、汎用性が高く、他のフレームに交換しても十分に対応できます。
大径ウィールのの滑りをもっと楽しみたければ、剛性の高い押出成形や削り出しのアルミフレームに交換すると良いでしょう。
また、4x80のフレームに交換すれば操作性と安定性が増し、基本スキルが習得しやすくなったり、スラロームを楽しむこともできます。

ウレタンパッドが当たって痛くならなくても、フィット感が向上するので、購入したらインナーブーツを熱成形すると良いでしょう。

かかとが低いため、操作しにくかったりやスピードが出ないと感じることもあると思います。
その場合は、インソールのかかと下に硬めのショックアブソーバを入れたり、かかとに高さのあるインソールに入れ替えたりすると、改善されると思います。

フレームとウィールの品質が少し低いですが、その分価格が抑えられているので、これから大径3輪ブーツを試してみたい人におすすめできます。