新しい3×90フレームが気になる「Kaze 90」を徹底レビュー!

Powerslide社が初めて発売したTrinityマウントのブーツはKaze 80でした。その元祖Trinityブーツがフレームやカラーリングなどを変えたマイナーチェンジをして、新たに今年リリースされたのがKaze 90です。
ここではそのKaze 90をしばらく使ってみた使用感を、良いことも悪いことも含めて率直に書いていきます!

Trinityだから低重心で操作性もいい!

何はさておき、Trinityマウントによるブーツ重心の低さがすばらしいです!
SebaやRollerbladeなどが採用しているVフレームより、重心(ソール)が約1cm低くなっています。
つまり、Kaze 90には90mmのウィールが入っているにもかかわらず、80mmウィールが入っているVフレームのブーツとほぼ同じ高さでになっているのです。
ウィールを84mmにしたり、フレームを4×80に付け替えたりすると、この低さがさらに威力を発揮します。4x72mmフレームとほぼ同じ高さになります。試してみると、足裏と地面の近さに驚くはずです!
ブーツの重心が低いということは、漕ぎやすさや安定感アップに繋がります。これは初心者の基礎スケーティング練習の強力な味方になってくれるはずです!!
低重心に加えて、ブーツ前部の2か所でフレームを固定する仕様のおかげで、操作性がかなり良いです。これは初心者だけでなく、どのレベルのスケーターにも嬉しい性能です。

3×90フレーム

Kaze 90最大の懸念事項は、3×90フレームではないでしょうか。
そこで、フレームについて少し詳しく見ていきたいと思います。

ちょっと短い?

サイズがEU40以上のブーツの場合、一般的なスラローム用フレーム(231mmや243mm)より、6〜8mm短いフレームが装着されています。
スラロームをする時にはこの短さは特に気になりませんが、1輪目が足の指に近いところにあるせいで、街中を滑る時にはちょっとした溝や小石などにつまずきやすいかも、と思いました。ただ、1〜2時間くらい履いて慣れてしまえば、その後は何の問題もありませんでした。

3×90のフルフラット

フルフラットにして滑っていると、足元のフレームを見なければ3輪だと気付かないくらい、4輪フレームで滑っている時との違いが分かりません。
僕のKaze 90のフレームは3×90/225mmですが、フレーム長もブーツの重心も、4×76/231mmとの差を感じずに滑ることができました。

3×90のロッカリング

フレームのシャフトを使って真ん中と後ろのウィールを下げたロッカリングにすると、4輪フレームのロッカリングとはかなり様相が変わってきます。

まず、安定感。
ロッカリングしているのに、全然ぐらぐらした感じがありません。止まった状態で、足裏の前後への荷重移動を何度か繰り返して、ようやく、
「あ、ロッカリングしてるかも?」
とわかるくらいです。
ロッカリングしてもぐらぐらしないのは、スラローム初心者にはありがたいことだと思います。あのぐらぐら感が嫌で、なかなかロッカリングに移行できない人もいるはずなので。

安定感はあっても、旋回性はしっかりアップします。
ロッカリングしていないような滑走感なのに、ロッカリングした4輪フレームと同じように曲がってくれました。パイロンを並べて、パラレルやクロスなどの基本技をやってみるとと、すぐに体感できるはずです。

基本技では4輪フレームと同じように違和感なくスラロームできたので、その感覚で飛燕をやってみると、ターンで回し込む足がワンテンポ遅れてついてくる感じになりました(苦笑)
つまり、ロッカリングしていないような旋回性に感じたのです。
3×90は4輪フレームに比べて、ロッカリング時に接地している2つのウィールの距離が長くなるので、旋回性が落ちるのは当然です。ただ、基本技で滑った時には、動作が単純なので、旋回性の差に気付かなかったのでした。
そこで飛燕を滑る時に、荷重するポジションを意識して滑ってみると、普通に飛燕ができました。
ロッカリングをしていても、飛燕のようなコンビネーション技を滑る場合は、フルフラットでスラロームをするように、荷重ポジションをしっかり意識して滑る必要があるのでした。

4輪フレームでトリックスラロームやFSS(フリースタイルスラローム)の技をする時に、2輪目や3輪目に荷重して操作することがあります。
その荷重を3×90フレームで再現しようとしても、該当箇所にウィールがないので、当然うまくいきません。
そこで、荷重するポイントやウィールを変えていく調整が必要になってきます。こういった荷重の調整が、4輪フレームに慣れ親しんだスラローマーにとって、3×90に移行する上での最大の難関になるでしょう。

1輪少ない軽さ(ブーツの全重量の約1/10軽くなります!)や90mmウィールが使えるメリットを活かすために慣れていくか、それともあきらめるか、選択が必要になってきます。僕は後者として、3×90での荷重やスピンのやり方を変えて、いろいろ試している最中です。

ちなみに、真ん中1輪だけ下げると4輪フレームよりもきついロッカリングになり、これは僕にとって危険すぎて無理でした! 真ん中1輪だけに乗る瞬間が生まれ、不安定この上ないのです。
そのため、僕は絶対にこのセッティングでは滑りたくありません!(笑)

結局3×90ってどうなの?

街中を滑ったり、スラロームの基本技をする分には、4×76や4×80とほぼ同じ感覚で滑ることができます。
しかも、ウィールが大きいから加速も速度維持も楽チン!
「違和感がないのに楽チン!」ということだけで、3×90を選ぶ理由になると思います。
FSSでトゥやヒール1輪で滑る技を多用する人には嬉しいフレームのはずです。

ただし、前項で書いたように、スラロームで高難易度の技をしようとすると、4輪フレームでの滑走方法が通用しないことが出てきます。
そのため、2輪目荷重や3輪目荷重などの4輪フレームで習得した微妙な感覚を使って滑り続けたい人には、3×90フレームは向いていないでしょう。

ブーツのシューホール

旧モデルでは、カフのバックル下までしかシューホールがありませんでした。しかし2018モデルでは、カフの上に飛び出る部分にもシューホールを空けてくれました。
シューレースをカフ上の穴まで通すとフィット感がアップするので、なかなかいい改良だと思います。

しかし、納得がいかない部分も出てきました。
通常、このカフ上にシューホールがある場合、その数cm下のカフのバックルに隠れる位置にも穴を作って、甲部分のシューホールと同じような間隔になっているはずです。所がこのKazeのブーツは、バックル部分の場所に穴が開いていないんです……。
実は、僕はカフ上の穴までシューレースを通さず、その1つ下のちょうどカフのバックルに隠れるところまでしか通さないのが好みなんです。
なので、2018モデルのKazeにカフ上のシューホールを作るのなら、バックル部分の位置にも空けて欲しかったです……(涙)

シューホールの位置の説明画像
写真1 シューホールの位置の説明画像

シューホール繋がりでもう一つ。
僕のKaze 90のサイズはEU40なのですが、シューホールを一番上まで通そうとすると、シューレースの長さがギリギリなんです。ギリギリすぎて、寒くてかじかんだ手でちょうちょ結びを作るのが難しいくらいなんです(笑)
いつもならすぐに長いものに取り替えます。そうすれば、かじかんだ手でも大丈夫ですし、脱ぎ履きも楽になるので。
でも、Kaze 90に関しては長いシューレースに取り替えたくないんです。
その理由は、付属のシューレースがウィールと同じミントグリーン色で、その色の長いものが見つからないからなのです。
ウィールを変えるまで、このギリギリの長さのシューレースでがんばります(笑)

ふかふかのインナーブーツ

ひと言で言うと、ふかふか(笑)
インナーブーツは本当にふかふかで、少し昔のアグレッシブブーツを思い出すくらいパッドが厚いのです。Swellよりもふかふかに感じる履き心地で、初めて足入れした時はかなり意外に思いました。
もちろん履き心地は良くて、くるぶしやすねなどがブーツのどこかに当たって痛くなる感じもなく、長時間履いていてもつらくありませんでした。
ふかふかだからと言って無駄に柔らかすぎることもなく、パッドに使用されているウレタンには適度な反発力やサポート力もあります。このふかふか感とサポート力のバランスはすばらしく、安いブーツとの品質の差は歴然としています。
これからインラインを始める人やブーツを履いていると足が痛くなる人にとって、この履き心地は長時間の練習もつらくならない、いい味方になってくれると思います。

しかし、ふかふかなインナーのせいで、フィット感が少しルーズになり、ブーツの中でかかとが浮いたり足が少し遊ぶ感じがしました。
そこでシューレースを一番上まで通して、バックルもしっかり締めてみると、フィット感が上がって足がブーツの中であまり動かなくなり、ルーズ感がかなり減少しました。
そうこうしながら何日か履いていると、インナーのふかふか感がいく分か減ってきて、ルーズ感も減少。そして気がついたら新品時のルーズさは消えて、かかと浮きも気にならなくなり、足に馴染んできていました(笑)
ただし、人によっては、インナーが馴染んできてもかかと浮きが続く場合もあるとのことです。

足に馴染んできても、ふかふか感がちょっと強めなのは変わらないので、薄めのパッドによるタイトなフィット感を求める人には向いてないと思います。バリバリFSS志向の人は、ブーツ内で足が無駄に動かないように工夫されているTauやHC Evoの方が合ってるでしょう。

余談。
とにかくインナーが厚くて足を押さえてくれるので、バックルもシューレースも締めない状態でも、そこそこ滑れてしまいます(笑)
滑り慣れている人が5分くらいの移動で使うのなら、たぶん足の甲のバックルを締めるだけで十分かもしれません。

カフの交換

KazeやSwellのカフは、実はアグレッシブブーツのAeonと共通のものが使われています。
Aeonのカフとして黒と白のものが発売されているので、カフが壊れたり、異なる色のカフを付けたい場合は、Deeport通販サイトのUSD Aeon Cuffページから購入可能です。

最初から付いているカフでも、十分なサポート力があります。
それでももっとサポート力が欲しい場合は、TauやHC Evoで使われている硬めのカフに交換するという方法もあります。しかし、残念なことに今(2018年3月現在)はそのカフ単品で販売されていません。
ただし、近いうちに買えるようになると予想しています。その理由として、アグレッシブブーツの各パーツは基本的に別売りされるのですが、Powerslide系列から発売されたアグレッシブブーツ (Gawds Franky Morales Pro) に、TauやHC Evoと同じカフが使われているからです。こういった訳で、この硬めのカフも単品で買えるようになると考えてます。

インソール

付属のインソールは厚さが約4mmで柔らかめです。
さらに、ブーツ内のソール部分(インソールの底と接する部分)にも、指で押すとへこむ薄いウレタンが貼ってあります(写真4右を参照)。
このため、つま先などに荷重したらインソールがすぐにへこんで、足裏の感触が柔らかすぎると感じるかもしれません。
レスポンスの良さを求める人や足裏が沈む感覚が苦手な人は、硬めの素材が使われているインソールに交換すると良いでしょう。

また、かかとを少し上げたい場合は、適度な硬さと高さのソルボヒールがおすすめです。
SebaのHDS(インナーブーツのかかと部分に付けるパーツ)を入れると少し高くなりすぎて、かかとの収まりが悪くなるかと思います。

ウィール

正直に言って、可もなく不可もなく、といった品質です(笑)
HyperのConcreteやUCのウィールが好きで、好みの滑り心地でないと滑っていてストレスを感じる僕ですが、特に不満もなく使い続けています。
グリップ感が少し弱く、すり減るのが少し早い気もしますが、価格を考えれば、こんなものだろうと思います。
ブーツを買った時に付いてくるウィールとしては、十分に合格点を付けられる品質です。

ちなみに、80mmより一回り大きい90mmですが、小石や小枝、点字ブロックなどの悪路の走破性は、80mmとほぼ同じだと思います。

デザイン

グレー×ブラック×ミントグリーンの配色は初音ミクを思い出させると同時に、好みが分かれると思います。
ミントグリーンのシューレースとウィールを黒に変えると、グレーと黒のモノトーンのブーツになり、服と色合わせがしやすいカラーリングになります。
カラフルだったり、黒一色のブーツが多い中、このようなカラーリングのブーツは貴重だと思います。

ちなみに、このグレー×ブラック×ミントグリーンの珍しい色合わせは、過去にUSD Carbon Freeで発売されていて、Powerslide系列では2足目だったりします(笑)

マイナスポイント

アウトエッジ乗りになりやすいかも

Powerslideの多くのフィットネスブーツと同じように、フレームを固定するブーツのマウント部分が5mmくらい内側に寄っています。
つまり、ブーツがアウトエッジに倒れやすくなっているのです。
これはアウトエッジから入ってインエッジで蹴る、きれいなストライドで滑りやすくするための仕様なのですが、場合によっては滑りの上達を妨げる原因となることもあります。
幸い、Trinityマウントは外側にずらすこともでき、一番外側に固定しすると、ほぼセンターに位置すると思います。それでも若干アウトエッジに倒れやすくなってしまうかもしれません。
同じTrinityブーツでも、Tauなどのカーボンシェルではマウントがブーツの真ん中に付いているので、Kazeで使用されている樹脂製シェルのマウントも同じ位置だと良いと思うのですが……。

バックルのリベット留め

カフのバックルがリベットで固定されています。
ネジ留めならドライバー1本で簡単に交換できますが、リベット留めは電動ドリルなどを使って外す必要があります。
カスタムしたり、破損してバックルを交換したい時に、とても不便です。

交換できないバンパー

ブーツ前部の外側に、薄い樹脂のバンパーが縫い付けられています。
スライドやスラロームの技によってはこの部分をこすることが多くなり、この程度の補強では心もとなく思う人もいるでしょう。
TauやHC Evoなどと同じように、ネジ留めの交換可能なバンパーが付いていたら良かったと思います。

色がはげる

つま先部分などに使用されているグレーの合皮ですが、染めてあるわけではなく、実はただグレーに塗ってあるだけです。
この合皮部分が転んだりしてこすれると、表面がはげて地の白色が現れます(苦笑)

ライバルブーツとの比較

おそらくこのKaze 90と比較対象となるブーツは、Seba High、Seba FR、RollerbladeのTwister系、FILAのNRK系、そしてPowerslideのImperial系などになるでしょう。
これらのブーツよりも優れているのは、ブーツ全体の重量が軽く、ふかふかで柔らかな履き心地、そしてTrinityによる安定感と操作性の良さです。
Seba Highの硬い履き心地を嫌って、Seba FRやTwisterなどに流れていた人がKazeを履いたら、もう戻れなくなるかもしれません(笑)
昔のブーツになりますが、SalomonのCrossmax系にも似ています。もちろんCrossmaxより性能も品質も格段に上です! もしSalomonがインラインスケートから撤退した時、このKazeがあったら、ここまでSebaが流行らなかったと思います。そのくらい、Crossmaxが好きだった人には嬉しいブーツでしょう。

Kaze 90よりSeba Highの方が良いとしたら、おそらくその要因は次の2つ。

  • 3×90フレームのロッカリングが好きではない。
  • FSSを重点的に練習したいから硬いブーツの方が良い。

フレームに関しては4×80/243mmに交換すれば対応可能ですが、ブーツの硬さ、特に甲やつま先部分の剛性はSeba Highに軍配が上がります。

インナーが厚いので履き心地はハードブーツと似ている感じもありますが、ハードシェルのガッチリした硬さやホールド感が好きな人には、Kazeはブーツ全体の剛性が足りなく感じるかもしれません。その場合はSeba FRやTwisterなどの方が合っていると思います。

商品

項目 概要 備考
商品名 Kaze 90 Trinity
メーカー Powerslide
型番 908224
参考価格 42,000円(税別)
総重量 1436.5g EU40片足

構成

パーツ ギア 重量 規格
ブーツ Kaze (EU40) 781.5g / 片足 Trinity
フレーム Katana 3×90/225mm 194.9g / 片足 Trinity
ウィール Spinner 90mm/88A 107.1g / 個
ベアリング Wicked ABEC 9 10.3g / 個

参考ページ

サイト ページ 説明
Powerslide Kaze 90 公式ページ
deeport online shop POWERSLIDE 2018 KAZE 90 TRINITY KAZE 90 販売ページ