極上の滑り心地を実現したウィール「Vortex」のレビュー:高田健一

Powerslideのフィットネス用ウィール「Infinity」の上位モデルとして、「Vortex」という新製品が2020年の夏に登場しました。
このVortexには、「UHR PU(Ultra High Rebound Polyurethane)コンパウンド」という新開発の高反発ウレタンが使用されています。
そのため、転がり抵抗が少ないのにグリップ力は高く、さらに快適な滑り心地を体験できるウィールとなりました。

サイズは125mm、110mm、100mm、90mm、80mmの5種類。
硬度は全サイズで85aとなっていますが、125mmと110mmはウレタン内部に柔らかいウレタンをインナーバンドとして芯のように配置し、外側を硬めのウレタンで覆っているDD(Dual Density)タイプとなっています。

項目 概要
メーカー Powerslide
商品名 Vortex
サイズ 125mm、110mm、100mm、90mm、80mm
硬度 85a
形状 ブレット
参考価格 125mm/6個:17,000円、110mm/4個:9,000円、100mm/4個:5,000円(全て税別)

125mm、110mm

硬度70aのインナーバンド入りのDDタイプで、硬めのウィールと柔らかめのウィールの優れた特性を併せ持っています。

Powerslide Vortex 125 DD

写真1Powerslide Vortex 125 DD

ローリング(スピード)

路面問わず加速もスピード維持もしやすく、スピードが乗りやすいウィールです。

転がり抵抗は特に感じないのですが、表面がなめらかな路面を滑った時に、もう少し硬くすればローリングがもっと良くなりそうだと感じました。
しかし、ローリング性能と抜群な滑り心地とのバランスを考え、ともすればほんの少しだけ柔らかく感じるようなこの硬さに設定されたのだと思います。

グリップ

しっかりグリップしてくれます。
コーナリングなど、ブーツを倒し込んだ状態でウィールがすっぽ抜けそうになる感覚は皆無です。

Tストップなどで止まる時の制動距離が短く、スライド技はやりにくいです。

滑り心地

このウィールの一番の売りは「滑り心地」と言って間違いないでしょう。
これ以上のものはないのではないかと思うくらい、驚くほどマイルドでなめらかな滑り心地です。

同じPowerslideのSpinnerやInfinityなどのウィールに比べて、アスファルトやタイル張りのなど路面の材質や粗さに関係なく、足に伝わってくる振動が70〜80%減少したという印象です。
他のウィールでは滑りたくないような粗い路面でも、このDDタイプのVortexなら、「少し路面がが粗いかな?」というくらいの感覚で滑ることができました。
今まで滑り心地がマイルドだと思っていたUndercover「Team」Rollerblade「Hydrogen」ですら、Vorrtex DDと比べてしまうと滑り心地が硬く感じてしまうほどです。
125mmと100mmを同時に使用した時の動画「Powerslide Vortex 100mmと125mmの滑走音比較」の滑走音の違いを聞くと、125mmのウィールが振動をどれだけ吸収しているか想像できるかと思います。

路面の凸凹による振動が足に伝わると、少しずつ疲労が蓄積されていきます。
このウィールは振動吸収力が抜群なので、足へのダメージが少なく、滑走時の疲労軽減に大きく貢献してくれます。

耐久性

ウレタン部分の耐摩耗性能は悪くありません。

フィットネス用のウィールのため、ジャンプや階段下りなどハードな使用をした場合のパンクのしにくさやコアの耐久性は不明です。

コスパ

インナーバンドが入っているため、同サイズの一般的なフィットネス用ウィールに比べるとかなり高価です。
しかし品質や特性、特に滑り心地の良さを考えると、この価格もやむ無しといった印象です。

Powerslide Vortex 125 DDのコアの形状

写真2Powerslide Vortex 125 DDのコアの形状

100mm、90mm、80mm

硬度85aのウレタンのみを使用し、インナーバンドが入っていないウィール。
UHR PUが持つ特性をストレートに体感することができます。

Powerslide Vortex 100

写真3Powerslide Vortex 100

ローリング(スピード)

路面問わず転がり抵抗を感じず、加速もスピード維持もしやすく、スピードが乗りやすいウィールです。

グリップ

しっかりグリップしてくれます。
コーナリングなど、ブーツを倒し込んだ状態でウィールがすっぽ抜けそうになる感覚は皆無です。

Tストップなどで止まる時の制動距離も短く、スライド技はやりにくいです。

滑り心地

125mmや110mmのDDタイプほどではありませんが、UHRポリウレタンの性能のおかげで、アスファルトなどの路面からの細かい振動はけっこう軽減されます。
振動の数が減るような感覚ではなく、振動の衝撃が小さくなり、角が丸くなって足に伝わってくるような感覚です。
滑り心地が良いUndercover「Team」Rollerblade「Hydrogen」よりも、細かい振動の伝わり方は30%減といった感じでした。
ただし、タイル張りなどの凹凸が大きな路面からの大きな振動の軽減は、あまり感じられませんでした。

耐久性

ウレタン部分の摩耗は気になりません。
使い始めから30km以上クルージングをしても、センターの線(バリ)が残っているウィールもありました。

フィットネス用のウィールのため、ジャンプや階段下りなどハードな使用をした場合のパンクのしにくさやコアの耐久性は不明です。

コスパ

1個1000円前後と低価格帯のウィールです。
ただ安いだけでなく、滑り心地とグリップ力が並以上なので、かなりコスパが良いウィールだと思います。

総評

加速やスピード維持がスムーズで、グリップ力も強力なため、ブーツのコントロールに余計な気を使わずに済みます。
そしてこのウィールの最大の特徴である、路面から足に伝わる振動が減少させたなめらかな滑り心地。
この2つが相まって、足への疲労を軽減してくれるウィールです。

特にDDタイプの125mmと110mmは、圧倒的な振動吸収力による疲労軽減効果も抜群で、今までより疲れにくかったり、滑走距離を伸ばすことができると思います。
極上の滑り心地を一度味わってしまうと、もう二度と他のウィールが使えなくなってしまうかもしれませんが……。

Powerslideの新ウィール「Vortex」は、屋外で長距離走を楽しんでいたり、粗い路面で滑ることの多いインラインスケーターにとって、これ以上ないくらい強い味方になってくれるでしょう!

参考

サイト 説明
Vortex DD | Shop Skrap 販売サイト
Vortex - powerslide 公式サイト

(高田健一)